響きがかっこいい単語、今回のテーマはスケープゴート!
自分が叩かれないために誰かを犠牲にする。
自分の怒りを鎮めるために誰かを叩く。
そんな人間の本能の闇の部分に関わるのが「スケープゴート」という言葉です。
「スケープゴート」のことば診断
当サイトでは、響きがかっこよく、知的好奇心をくすぐる珠玉の単語を厳選して、中学生から大人までわかりやすく紹介しています。
今回のテーマ「スケープゴート」について、「身近さ」「レア度」「難解度」をそれぞれ診断してみました!
身近さ:4.0(どれくらい身近な世界の話か)
スケープゴートという言葉を意識していなくても、漫画やゲーム、現実のニュースや実際の人間関係までスケープゴートにあたる存在は至る所で目にしているでしょう。
レア度:3.0(日常生活での遭遇頻度)
会話で使われる頻度はそこまで高くないものの、ゲームや小説等の創作物で目にすることは時々あります。
難解度:2.5(言葉の意味理解の難易度)
意味を理解する文には特に難しいことはありません。
スケープゴートって何?
スケープゴートとは、集団の問題や失敗の責任を一身に背負わされる人や物を表す言葉です。
本来なら複数の人や要因が関わっているはずの問題を、特定の誰かのせいにして、その人を排除することで集団の結束を図ろうとする現象を指します。
現代では主に以下のような場面で使われます:
- 会社で大きな失敗が起きたとき、管理職の一人だけが責任を取らされる
- 政治で問題が発生したとき、特定の政治家だけが批判を浴びる
- スポーツチームが負けたとき、特定の選手だけが戦犯扱いされる
闇を感じるのが、スケープゴートにされる人は必ずしも一番悪い人や最大の責任者ではないことが多いというところ。
集団にとって「切り捨てやすい都合の良い存在」が選ばれることが多いんです。
スケープゴートの語源
スケープゴートの語源は、古代ユダヤ教の宗教的な儀式にまで遡ります。
旧約聖書の一つ、レビ記に記載されている「贖罪の日」(ヨム・キプール)の儀式では、2匹のヤギを用意し、そのうち1匹を神への生贄として捧げ、もう1匹に人々の罪を背負わせて荒野に放つという儀式が行われていました。
この荒野に放たれるヤギが「スケープゴート」(escape goat = 逃げるヤギ)と呼ばれていたのです。
人々の罪や穢れを背負って荒野に消えていくヤギ――この象徴的な儀式から、「他者の罪や責任を背負わされる存在」という意味で「スケープゴート」という言葉が生まれました。
この儀式の目的は、共同体の結束を強めることでした。みんなの罪を一匹のヤギに背負わせることで、残された人々は心理的に「清められた」と感じることができたのです。
現代におけるスケープゴートも、「誰かが罪を背負ってバッシングを受ける」ことで、問題を犯した組織も、それを外から見ている我々もどこか安心感を得ているという意味では、語源となるスケープゴートとあまり変わらないですね。
歴史上の有名なスケープゴート事例
日産のカルロス・ゴーン事件
カルロス・ゴーン氏は、日産自動車を立て直した「カリスマ経営者」として世界的に有名になりました。
ところが2018年、突然の逮捕。報酬の過少申告などの疑いで、彼は一気に悪者として扱われるようになりました。
しかし、この事件の背景には、社内の権力争いや日産とルノーの経営関係のもつれなど、複雑な事情があったとも言われています。
「全ての責任はゴーン1人にある」とされたことで、他の関係者や会社の構造的な問題はうやむやにされてしまいました。
このように、一人の人物を“悪役”に仕立てることで周囲が安心するという構図は、まさにスケープゴートの典型といえるかもしれません。
ヒトラーによるユダヤ人大量虐殺
ナチス・ドイツが行ったユダヤ人迫害は、スケープゴートの最も恐ろしい例です。
ヒトラーは、ドイツが戦争に負けたことや経済が悪くなった原因を「ユダヤ人のせいだ」として、国民の怒りや不安をそこに向けさせました。
その結果、約600万人ものユダヤ人が命を奪われました。
もともとユダヤ人に問題があったわけではありません。ただ、社会の不満を誰かにぶつけたいという人々の心理を、ヒトラーは利用したのです。
少数派を「敵」として仕立て、国民の不満をまとめる。これはスケープゴートが引き起こした、最も悲劇的な歴史の一つです。
身近なところに目を向けてみると、昨今、中国政府や韓国政府は反日感情を煽ることで支持率を上げようという動きが強まっていると言われています。これも日本がスケープゴートにされていると考えることが出来ます。
その他の身近なスケープゴート
スケープゴートは何も大事件だけに起こる話ではありません。
たとえば職場や学校で、いつも同じ人が責任を押しつけられたり、チームでの失敗をなぜか特定の人だけが責められることがあります。
政治の世界でも、公約が守れなかったり、組織に問題が発生した時、大臣だけが責任をとって辞任することになったりしますよね。あれもスケープゴートと言えます。ただしこれは監督責任という考え方もあるので間違っているとは言えない場合も多いです。
こうした現象は、無意識のうちに「誰かを悪者にすることで安心したい」という集団の心理から起こっているのです。
まとめ
今回は響きがかっこいい単語としてスケープゴートについて紹介しました。
古代の宗教的な儀式から生まれた概念ですが、現代社会でも様々な場面で見られるスケープゴート。
言葉の意味を知ることで、集団心理の危険性を理解し、より公正で合理的な判断ができるようになりたいものですね。
問題が起きたとき、安易に「犯人」を決めつけるのではなく、複雑な要因を冷静に分析する姿勢が大切です。
そうすることで、真の問題解決に向けた建設的な議論ができるはずです。



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