響きがかっこいい単語、今回のテーマはIPマスカレード!
そのまま訳すとIPの仮面舞踏会。おしゃれな名前ですが、これはIT関連の専門用語なんです!
あなたが今使っているスマートフォンやパソコンも、実はこのIPマスカレードの恩恵を受けてインターネットに接続しているかもしれません。
「IPマスカレード」のことば診断
当サイトでは、響きがかっこよく、知的好奇心をくすぐる珠玉の単語を厳選して、中学生から大人までわかりやすく紹介しています。
今回のテーマ「IPマスカレード」について、「身近さ」「レア度」「難解度」をそれぞれ診断してみました!
身近さ:4.0(どれくらい身近な世界の話か)
IT系、特にネットワーク分野の専門用語ではありますが、実は多くの人が知らずに使っている仕組みです。
家庭用ルーターなどで自然と利用されているため、言葉は知らなくても恩恵を受けている可能性は高く、ルーターの設定画面で目にすることもあるかもしれません。
レア度:4.0(日常生活での遭遇頻度)
ネットワークの設定やセキュリティ、サーバー管理に関わる場面でない限り、出会う機会は少ない専門用語です。
ルーターの設定画面でもIPマスカレードの別の呼び方であるNAPTと表記されることが多く、IPマスカレードという表記を見かけることは稀かもしれません。
難解度:4.5(言葉の意味理解の難易度)
インターネットやIPアドレスの仕組みを知らないと意味がわからない単語です。
IPアドレスって何?
IPマスカレードを理解するには、まず「IPアドレス」について知っておく必要があります。
IPアドレスとは、インターネット上で各デバイスを識別するための“住所”のようなものです。
ここでいう「デバイス」とは、パソコンやスマートフォンはもちろん、ゲーム機やスマート家電なども含まれます。最近では、車や監視カメラ、照明器具までインターネットにつながる時代になってきましたよね。
こうした機器がネット経由でデータをやり取りするには、「どこへ送るか」「誰から来たか」を判断するための“住所”、つまりIPアドレスが必要になります。
たとえば、あなたがスマートフォンでWebサイトを見ているとき、そのスマホには「192.168.1.10」のような数字の組み合わせが割り当てられています。これがIPアドレスです。
IPアドレスは、0~255の数字を4つ並べた形式で表され、理論上は
256×256×256×256=4,294,967,296(約43億)
という数のパターンが存在します。これが、従来使われてきた「IPv4」という形式です。
(これ以上は難しい話になりすぎてしまうのであまり深掘りはしません!)
IPアドレスの枯渇問題
本来、IPアドレスは世界中のすべての機器がそれぞれ固有のアドレスを持っていることが理想です。
現実の住所と同じで、同じ番地がいくつもあったら、郵便物もデータもどこへ届けばいいのか分からなくなってしまいますよね!
でも、ちょっと考えてみてください!約43億個のアドレスって、本当に足りると思いますか?
たとえば、4人家族の家庭なら、スマホが4台、パソコンが2台、タブレットやゲーム機、テレビ、スマート家電など…10台、20台以上のネット接続機器があるなんてこともザラです。
こうした家庭が世界中にあると考えると、43億ではとても足りないですよね?
実際、IPアドレスの枯渇問題は深刻な問題として注目されてきました。
こうした「アドレスが足りない!」という問題を解決するために、いくつかの技術が生まれました。
そのうちのひとつが、今回のテーマである「IPマスカレード」です。
IPマスカレードとは
家庭を例に考えてみましょう。
ある家庭には、お父さんのスマートフォン、お母さんのタブレット、あなたのパソコン、そして兄弟のゲーム機があるとします。これらすべてが家のWi-Fiに接続してインターネットを使っています。
これまでの説明だと、それぞれのデバイスには固有のIPアドレスが必要、という話でした。
しかし、IPマスカレードの仕組みを使えば、家庭内のこれらの機器は外の世界(インターネット)から見ると、すべて同じIPアドレスを使っているように見えるのです。
IPマスカレードの仕組み
では、外からは全部同じIPアドレスに見えているのに、どうしてそれぞれのデバイスに正しくデータが届くのでしょうか?
その仕組みを見てみましょう。
- 家庭内では、各デバイスに「プライベートIPアドレス」という内部専用のアドレスが割り当てられます
- 各デバイスがインターネットにアクセスするとき、Wi-Fiルーターが仲介役として動きます
- ルーターは、内部の通信を「グローバルIPアドレス」という外向きのアドレスに変換します
- 外部のWebサーバーから見ると、すべての通信はひとつのIPアドレス(ルーター)から来ているように見えるのです
このように、IPアドレスが内と外で姿を変えて振る舞うのでIPアドレスの仮面舞踏会、すなわちIPマスカレードと名付けられたんですね!
IPマスカレードとNAPTの関係
ここまで説明してきた通り、IPマスカレードは複数の機器が1つのIPアドレスを使ってインターネットに接続できるようにする仕組みです。
なお、これは「NAPT(Network Address Port Translation)」と呼ばれる方式と同じものなんです。
「IPマスカレード」という言葉は、Linuxや一部のネットワーク設定で使われる呼び方で、実質的にはNAPTと同じ意味だと思ってOKです。
PCやルータの設定画面にNAPTと書いてあったら「これがIPマスカレードか」と思い出してください!
IPv6の登場とIPマスカレードのこれから
これまで説明してきたIPアドレスは「IPv4」と呼ばれるもので、約43億個までしか使えないと説明しました。
しかし実は「IPv6(アイピーブイシックス)」という根本的な解決策があるんです。
IPv4では43億パターンだったのに対しIPv6では340澗という、聞いたこともないようなパターンのIPアドレスが割り当てられるんです。
340澗は340兆の1兆倍のさらに1兆倍。
数字をそのまま表記すると3,400,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000という、もはや何が何だかわからないほどの数になります。
これだけあればIPアドレスが足りない問題は解決しそうだし、IPマスカレードは必要なくなりそうに見えますよね。
しかし、IPv6が広く使われるようになっても、IPマスカレードがすぐになくなるわけではありません。
理由は次の通りです。
- まだ世界の多くはIPv4を使っているので、完全に切り替わるには時間がかかる
- ネットワークの管理やセキュリティのために、IPマスカレードの仕組みを使い続けることが多い
(外部のインターネットからはルーターを介さないと内部アドレスが特定できないのでセキュリティが高まる効果がある) - 古い機器やサービスがIPv4で動いているため、すぐに変えられない
このため、IPv6が普及してもIPマスカレードはしばらく使われ続けるでしょう。
まとめ
今回は響きがかっこいい単語としてIPマスカレードについて紹介しました。
IPマスカレードは、デバイスがまるで仮面舞踏会のように、それぞれの正体を隠しながらひとつのIPアドレスを使ってインターネットとやり取りする技術でした。
普段は意識することのない技術ですが、あなたがこの記事を読んでいる今この瞬間も、IPマスカレードがあなたのデバイスとインターネットの世界を繋いでいるのです。
技術の進歩により、将来的にはIPv6の普及でIPマスカレードの必要性が減る可能性もありますが、当面の間は私たちのデジタル生活を支える重要な技術として活躍し続けるでしょう。



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