響きがかっこいい単語、今回のテーマはビルトインスタビライザー!
中学生が授業で習う響きがかっこいい単語としてもよく挙げられるビルトインスタビライザーですが、意味は覚えていますか??
フィスカル・ポリシーと一緒に習ったということも覚えているかもしれませんね。(フィスカル・ポリシーも当サイトで解説済みなのでよかったら呼んでみてくださいね!)
ビルトインスタビライザーは、私たちの生活に密接に関わっている重要な仕組みで、私達は何も意識していなくても常に影響を受けているのです。
今回はそんなビルトイン・スタビライザーについて、意味や具体例、そしてフィスカル・ポリシーとの違いについてわかりやすく解説していきます!
「ビルトインスタビライザー」のことば診断
当サイトでは、響きがかっこよく、知的好奇心をくすぐる珠玉の単語を厳選して、中学生から大人までわかりやすく紹介しています。
今回のテーマ「ビルトインスタビライザー」について、「身近さ」「レア度」「難解度」をそれぞれ診断してみました!
身近さ:5.0(どれくらい身近な世界の話か)
言葉としては意識されにくいものの、税金や社会保障といった私たちの生活に深く根差した制度そのものであり、知らず知らずのうちにその恩恵を受けています。
レア度:3.0(日常生活での遭遇頻度)
中学、高校で一度は習っているはずですが、日常会話や一般ニュースで頻繁に登場する言葉ではありません。
ニュースや新聞の経済欄や政策討論などで目にする機会はあります。
難解度:3.5(言葉の意味理解の難易度)
非常に身近とはいえ、経済学用語なので、経済にあまり詳しくない人は意味を直感的に理解しにくいかもしれません。
ビルトインスタビライザーって何?
ビルトインスタビライザー(Built-in Stabilizer)とは、経済が不安定になったとき、政府が特別な政策を実施しなくても、自動的に経済を安定化させる働きをする制度のことです。
「ビルトイン」は「組み込まれた」、「スタビライザー」は「安定装置」という意味で、直訳すると「組み込まれた安定装置」となります。
日本語では「自動安定化装置」や「内蔵安定化装置」と訳されることもあります。
「装置」と言われると、実態のある手で触ることが出来る何かしらの機械をイメージしてしまいますが、ビルトインスタビライザーはそういうものではなく、経済制度そのものに組み込まれている仕組みやルールのことを指します。
この仕組みの特徴は、政府や政治家が「景気対策をしよう!」と決断して実行するものではないことです。
政府や政治家が特に何もしなくても、勝手に経済が安定するように働いている仕組みがビルトインスタビライザーなんです。
代表的なビルトインスタビライザー
誰も何もしていないのに勝手に経済が安定するというのはどういうことなのでしょうか?
具体的なビルトインスタビライザーの例を見てみましょう!
累進課税制度
最も身近なビルトインスタビライザーが、私たちが毎年支払っている所得税の累進課税制度です。
累進課税とは、所得が多い人ほど高い税率が適用される仕組みのことです。
例えば、年収が200万円ほどであれば所得税として徴収されるのは収入の5%ほどですが、
年収1000万円になると、所得税として徴収されるのは収入の33%以上になります。
このように、収入が高い人ほど税金として取られてしまう金額が上がる税金を累進課税といいます。
これを踏まえてイメージしてみてください。
景気が良いときは多くの人の給料が上がります。給料が上がると累進課税によって、税金として取られてしまう金額が高くなってしましまい、自由に使えるお金の割合が減ります。
その結果、消費が抑制されてインフレを抑える力が働きます。
逆に景気が悪いときは多くの人の給料が下がります。給料が下がると累進課税によって、税金として取られてしまう金額は少なくなります。→自由に使えるお金の割合が増える
その結果、お金が無くて物が買えなくなってしまう状況を抑え、消費を促進する力が働きます。
このように、景気の上げ下げによって自動的に働く調整機能がビルトインスタビライザーなんです。
失業保険制度
失業保険もビルトインスタビライザーの典型例です。
失業保険は、働いていた人が怪我や病気で仕事を辞めてしまったり、会社をクビになってしまった時などに、次の仕事を始めるまでの間お金を受け取ることが出来る制度です。
景気が良く雇用が安定しているときは、失業者が少ないため失業保険を受け取る人は少なくなります。
一方、景気が悪化して失業者が増えると、失業保険を受け取る人は自然と増えるでしょう。
仕事を失ってしまった人に適度にお金が入ってくるため消費が冷え込みすぎて不景気になるのを防ぐ効果が発生するんです。
生活保護制度
生活保護も同様の機能を持ちます。
景気が悪化すると生活保護を受ける人が増え、政府の支出が自動的に増加して、最低限の生活を保障することで経済の安定化に寄与します。
ビルトインスタビライザーの強み
ビルトインスタビライザーの大きな特徴は、政府の意思決定を必要としない点です。
通常の経済政策では、景気が悪化したときに政府が「みんなにお金を配ろう」「生活困窮者を救う制度をつくろう」と決断し、議論の後、議会で予算を承認してから実行されます。
この過程には時間がかかり、実際に効果が現れるまでに景気がさらに悪化してしまう可能性があります。
一方、ビルトインスタビライザーは既存の制度の中で自動的に働くため、景気変動に対して即座に対応できます。
この「自動性」が、ビルトインスタビライザーの重要なメリットなんです。
フィスカル・ポリシーとの違い
ビルトインスタビライザーと似た概念に「フィスカル・ポリシー」があります。どちらも経済を安定化させる重要な仕組みですが、その働き方には明確な違いがあります。
なお、フィスカル・ポリシーについてはこちらの記事でも詳しく解説しています!
フィスカル・ポリシーは、政府が意図的に行う政策です。
景気が悪化したときに「公共事業を増やそう」「減税をしよう」と政府が相談して、予算を組んで、会議を繰り返してようやく実行される手動の操作といえるでしょう。
一方、ビルトインスタビライザーは、制度にあらかじめ組み込まれている自動の仕掛けです。政府が特別な判断をしなくても、経済状況の変化に応じて自動的に発動します。
具体例で比較してみましょう。
景気が悪化したとき、フィスカル・ポリシーでは政府が「失業対策として職業訓練予算を増やそう」と決定し、議会で承認を得てから実行されます。
しかし、ビルトインスタビライザーでは、失業者が増えると自動的に失業給付の受給者が増え、政府の支出が自然に拡大します。失業者が自ら手続きを行うため、政府が何もしなくても景気悪化を和らげる効果が働くのです。
わかりやすく例えるなら、フィスカル・ポリシーは「人がハンドルを握って操作する運転」、ビルトインスタビライザーは「衝突回避システムや車線維持アシストなどの自動アシスト装置」のような存在です。
どちらも経済の安定には欠かせませんが、対応の速度や確実性において、それぞれ異なる強みを持っているのです。
まとめ
今回は響きがかっこいい単語としてビルトインスタビライザーについて紹介しました。
一見すると難しそうな経済用語ですが、実は私たちの日常生活に深く関わっている重要な仕組みでした。
税金や社会保障制度といった身近な制度が、実は経済の安定化に重要な役割を果たしているということを理解すれば納税への不満も少しだけ緩和されるかもしれません(?)



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