響きがかっこいい単語、今回のテーマは環水平アーク(かんすいへいアーク)!
極稀に気象関連のニュースで聞くことがある、「虹」に似た現象のことなのですが、環水平アークを目にできる人はそう多くありません。
今回はそんな環水平アークの正体や普通の虹との違い、どのような条件で見られるのか、環天頂アークや彩雲との違いについてわかりやすく解説していきます!
「環水平アーク」のことば診断
当サイトでは、響きがかっこよく、知的好奇心をくすぐる珠玉の単語を厳選して紹介しています。
今回は空の奇跡のような自然現象「環水平アーク」について、「身近さ」「レア度」「難解度」をそれぞれ診断してみました!
身近さ:2.5(どれくらい身近な世界の話か)
めったに見られない現象なので、身近な言葉とはいい難いでしょう。
とはいえ、直接見たことがなくても、お天気関連のニュースやSNSなどで写真や話題が流れてくることはあります。
レア度:4.0(日常生活での遭遇頻度)
出現には特定の条件(太陽の高度や巻雲の存在など)が必要なため、かなり稀な現象です。
国内でも年に数回見られればラッキーというレベルで、一生のうちに一度も見たことがない人の方が多いでしょう。
ニュースやSNSで話題になっているのを見かけるのは数年に一度くらいはあるかもしれません。
難解度:2.0(言葉の意味理解の難易度)
どんな現象なのかだけを理解するだけであれば簡単です。メカニズムまで踏み込むとちょっと難しいかもしれません。
環水平アークって何?
環水平アークとは、太陽の光が空の高いところにある氷の粒(氷晶)によって屈折・分散されることで現れる、水平に広がる虹色の帯状の光のことです。

地平線と平行に近い真っ直ぐな帯状に見えるのが特徴です。英語では「circumhorizontal arc」と呼ばれ、無理やりカタカナで表記するとサーカムホリゾンタル アークという感じになります。
この現象は、巻雲(けんうん)と呼ばれる高い位置にある雲の中の氷晶(小さな氷の粒)が、プリズムのような働きをすることで発生します。
太陽の光が氷晶の中を通る際に、光の成分が赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色に分かれて私たちの目に届くのです。
普通の虹が雨上がりに太陽を背にして見えるのに対し、環水平アークは太陽と同じ方向に現れます。そのため、見上げる角度も全く異なるんです。
環水平アークが見られる条件
環水平アークは非常に限られた条件が揃わないと見ることができません。そのため、「幻の虹」と呼ばれることもあります。
まず、太陽の高度が58度以上である必要があります。これは非常に高い角度で、日本だと 主に5月〜8月のお昼前後にしかチャンスがありません。しかも、北海道などの緯度の高い地域では、更にチャンスは少なくなります。
次に、太陽の方向に巻雲(けんうん)があることが必要です。巻雲は高度5、6000メートル以上の高い位置にある雲です。
この氷晶が六角板状の形をしていて、適切な角度で太陽光を屈折させることで環水平アークが発生するのです。
さらに、氷晶の形や向きも重要です。氷晶が水平に浮いている状態でないと、きれいな環水平アークは現れません。風が強すぎても氷晶が乱れてしまい、現象が見えなくなってしまいます。
これらの条件が全て揃う必要があるため、環水平アークを見ることができるのは本当に稀なことなんです。
普通の虹と環水平アークの違い
環水平アークと普通の虹は、どちらも光の屈折と分散によって生まれる現象ですが、いくつか大きな違いがあります。
まず、現れる場所が全く違います。普通の虹は太陽を背にした方向、つまり太陽の反対側に現れますが、環水平アークは太陽の下側に現れます。
次に、原因となる水分の状態も異なります。普通の虹は雨粒や霧の水滴によって作られますが、環水平アークは氷晶によって作られます。
形についても大きな違いがあります。普通の虹は太陽を中心とした大きな円弧を描きますが、環水平アークは地平線と平行に近い直線状に見えます。
どのくらい珍しい現象なの?
環水平アークは気象現象の中でも特に珍しい部類に入ります。その頻度は地域によって大きく異なりますが、日本では年に数回程度しか観測されません。
アメリカの中緯度地域では年に数十回観測されることもありますが、これは緯度が低く、太陽の高度が高くなりやすいためです。逆に、北欧などの高緯度地域では、夏でも太陽の高度が58度に達しないため、環水平アークを見ることはほとんどできません。
日本で環水平アークが観測されやすいのは、5月から8月の間の晴れた日の午前10時から午後2時頃です。特に梅雨の晴れ間や夏の暑い日に、薄い巻雲が現れたときがチャンスです。
ただし、条件が揃ったとしても、環水平アークは数分から長くても30分程度しか続きません。氷晶の状態や太陽の位置が少し変わるだけで消えてしまうため、まさに「一期一会」の現象と言えるでしょう。
環天頂アークと彩雲
環水平アークと似た虹色の現象として、「環天頂アーク」と「彩雲」があります。
環天頂アークは、環水平アークとは逆に太陽の上側に現れる虹色の弧で、「逆さ虹」とも呼ばれます。

太陽の高度が低い時に現れるため、環水平アークとは正反対の条件です。日本では秋から春にかけて観測されることが多く、環水平アークと比べるとかなり頻繁に見ることができます。
彩雲(さいうん)は、雲の一部が虹色に染まる現象で、太陽の近くにある薄い雲に現れます。

環水平アークや環天頂アークは氷晶に太陽光が回折して起こるのに対し、彩雲は主に水滴によって起きる光の回折現象です。屈折や散乱も関わっています。
太陽の高度に厳しい制限はなく、一年を通して観測可能です。注意深く空を見上げていれば、観察できる機会は意外と多いです。
これらの現象のうち、環水平アークや環天頂アークは「ハロ現象」と呼ばれる氷晶による光の屈折・反射により生じるものですが、彩雲は水滴による光の回折現象であり、ハロ現象には含まれません。
出会いの難しさは
環水平アーク > 環天頂アーク > 彩雲
の順番で、環水平アークは最も貴重な現象と言えるでしょう。
まとめ
今回は響きがかっこいい単語として環水平アークについて紹介しました。
日本では年に数回程度しか観測されない珍しい現象ですが、日頃から空をよく観察していれば見られるかもしれません。
上を向いて歩けば気持ちも明るくなるし、普段から空を見上げることで思いがけず美しい景色に出会える事もあります。
そんな中で、環水平アークに出会えたら嬉しいですね!



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